外壁塗膜の浮き・剥がれについて
数年前、または数ヵ月前に塗装したのにも関わらず
・塗膜が浮いてきた。
・ペンキがめくれてきた。
というのは少なくありません。
そんな場合ただ単純に『手抜きをされた』といえない場合もあります。
そのあたりを綴っておきたいと思います。
塗膜の浮き・剥がれ。原因としては大きく3つあります。
①手抜き工事による浮き・剥がれ
これは単なる手抜き工事です。下塗りであるシーラー、プライマーの省略。または合っていない下塗りでの施工。メーカー仕様に外れた施工をしているわけですから当然と言えば当然です。
20年以上この仕事をしていますが、手抜きというのは、その人の性格のような気がします。元請けで請け負う場合でも【する人はします】し、逆に3次で請け負ったとしても【しない人はしない】そんな気がしています。
また別の話として下塗りと上塗りを同一メーカーでするのは基本であり推奨ですが、全て同一にしなければならないかと言えばそうではなく下塗りがない塗料メーカーの場合は相性のいい他社の下塗り材施工する場合もあります。
②知識不足による浮き・剥がれ
悪気は一切ないですが施工側の知識不足により不具合になるケースです。例えば一般的にはサイディングに弾性塗料は不可になっています。また濃色も蓄熱しやすいので結果、膨れやすいと言われています。それらを知らずに施工してしまうケースです。
ですがこれらは一般論であって必ずそうなる。というものではないのが難しいところ。ごく稀に起こっているため、塗料メーカーが不具合ケースを施工業者側に告知をしておらず、知らず知らずのうちに誤った施工をしてしまう場合は少なくありません。
あるハウスメーカーの既存塗膜では正しい施工をしていたとしても膨れが起きるケースもあり慎重に工事仕様を調べる必要があります。
③構造上の問題による浮き・剥がれ
例えば塀の塗装には専用塗料があり、その専用塗料で施工すればかなりの確率で浮き・剥がれの不具合を回避できます。ただ、植木を埋め込みしてる場合など、内部からの湿気を誘発しているケースでは構造上の問題ですのでどうしようもなく不具合になりやすいです。
というのも塗膜はその性質上、外部からの影響には強く性能を発揮しますが内部からは弱く影響をモロに受けるからです。
またその他としまして直貼りサイディングを塗装した場合などの内部結露による膨れ・剥がれ。大阪では少ないですが寒冷地でよく起こるサイディングにおける凍害。等があります。
これらも構造上の問題であり必ずそうなるとは言いにくく判断が難しいですが、いずれにしましてもこれぐらいの基本的な知識は施工側が持っていなければなりません。
・サイディングの直貼り
外壁の防水シートの上に直接サイディングを貼った工法。内部の湿気が外に放出しにくく、それにより塗膜が膨れたり、剥がれやすくなると言われています。先ほど言った弾性や濃色は特に。そのためサイディングの張り替えをお薦めする場合もあります。
・サイディングの通気工法
外壁の防水シートの上に胴縁を入れ通気層を設けた上にサイディングを貼った工法。金具に引っかけるタイプのサイディングもあります。そのようなサイディングは内部からの影響を受けにくいですから不具合の確率も減ります。
番外編 原因不明
年がら年中、不具合事例を見ているあるメーカーの担当者さんに聞いたところ、やはりどうしても原因が分からないケースがあるそうです。気温、工程、樹脂、全てが問題ないにも関わらず、不具合になった理由が見当たらない。まれではありますが、そのような場合もあります。
まとめ
思いつくままに書きましたが、こんなところでしょうか。
今回偉そうに自分の思っている見解を書きましたが、重要なのは起きてしまった事より、その後の対応です。原因追究よりも施工側がどう対処するか、ではないかと考えます。知らぬ存ぜぬで通してしまう業者か、出来る事を誠意ある対応で接してくれる業者か。それが一番大切ではないでしょうか。