屋根は場所が場所だけに、お施主様自身が分かりにくい箇所になります。屋根材の種類・必要な副資材・屋根が傷みすぎるとどうなるか?等、ご理解しやすいよう分かりやすく書いていきます。
自分のお家の屋根に上った事のあるお施主様はどの位いらっしゃるでしょうか。普段目につかない場所だからこそ気にならないかもしれませんが意外と傷んでいる場合も多いです。
【お施主様自身が屋根を見た事のない。】という心理をつけ込んで悪徳リフォームが一時社会問題になりましたね。すべての訪問販売業者さんがそうだとは言いませんが、知らない人を御自分のお家の屋根に登らす。これはなるべくなら控えておいた方がいいかと思います。
カラーベストやコロニアルと呼ばれる薄形化粧スレートやモニエル瓦等の洋瓦は立地条件や環境条件によってちがいますが築10年前後から劣化が始まります。
こちらは築15年経過した屋根の高圧洗浄の様子です。黒い箇所が高圧洗浄前の状況、白くなったところが高圧洗浄後の状況になります。
いくら高圧洗浄とは言え、これだけ簡単に表層の塗膜が除去できるということはそれだけ屋根自体過酷な環境下にあるといえます。
なぜ屋根は外壁より傷みやすいのか?
一般的に、屋根は外壁に比べ3倍以上の紫外線を浴びると言われています。
外壁の場合は、東から上った太陽が西に沈んでいきますので1日中太陽の影響があるかと言えばそうではなく、面によっては一定の時間のみ日差しを受けることになります。
その一方、屋根は勾配によって多少の差はあれ日中ほとんどの時間で紫外線を浴びています。
紫外線だけではありません。雨、風の影響もモロにうけていることから過酷な環境ということがご理解いただけるかと思います。
藻・苔・カビが発生する原因とは?
屋根に付着する苔・藻の発生も地域によって様々です。極論ですが大阪市内の緑が少ない地域に行けば藻が発生していることは少なく、河内長野市の緑が多い地区の場合は藻が発生しているケースが多いです。
藻・苔・カビが発生しやすい環境は、、
・周辺に田や畑、森などの木々、河川がある。
・食品工場がある。
・日当たりが悪い。
などがあげられます。
こちらの画像は周りに一切緑が少ないにも関わらず、藻・苔がびっしり屋根にのってたケースです。
屋根に覆い尽くされた藻 |
洗浄してやっと元の色が
分かる状況でした。 |
|
|
田舎ではなく比較的、都市部での屋根でしたので何が原因なのか?謎でしたが、お客様にお聞きすると数年前までお家の裏に森があったそうです。なるほど、それなら理屈が合います。やはり環境によって屋根材の寿命が左右されると妙に納得した次第です。
屋根塗装をすると雨漏りがしなくなるのか?
『屋根の塗装をすると今後雨漏りの心配はありませんよね?』とお尋ねになられる方がいますが、屋根塗装は雨漏りの防止、修理にはほぼ役にたちません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
外壁塗装で雨漏りが止まらない理由とは
ご覧いただくと分かるように、屋根塗装と雨漏りの関係は無関係です。ただ、屋根表面をコーティングするという意味はもちろんありますので屋根材の劣化の進行は止めることができます。
塗装可能な屋根材の種類
屋根材の種類
屋根の種類は無数にありますが塗装出来る屋根をご紹介します。
【※日本瓦や釉薬瓦などの例外的に塗る種類のものは省きました。】
〇 金属系屋根 (折半屋根 ・瓦棒屋根・波トタン)
工場・住宅・体育館など広い範囲で使われてます。
金属の屋根は太陽の熱を吸収しやすいことから、ここ最近は塗り替えの際には遮熱・断熱の塗料が使われる事が多いです。
【屋根の塗料例】
・ガイナ
・アドグリーンコート
・サーモアイシリーズ |
〇 薄型化粧スレート (カラーベスト ・ コロニアル)
一般住宅では薄型化粧スレートと呼ばれる (カラーベスト ・ コロニアル)このタイプが多いです。
阪神淡路大震災を契機に多く用いられるようになった軽量屋根瓦です。強度を維持する為には新築後8~15年が塗替え時期になります。20年以上たったものには塗替えが困難の場合もあり、水性塗料・溶剤塗料どちらともありますが、出来る事なら屋根に関しては溶剤塗料を塗りたいですね。
【屋根の塗料例】
・ガイナ
・アドグリーンコート
・サーモアイシリーズ |
〇 アスファルトシングル
米国で生まれ、約140年の歴史を持ち、全米の住宅屋根の約80%がアスファルトシングルと言われています。アスファルトをつかってますので水性塗料が適してます。
〇 乾式コンクリート瓦(モニエル瓦・クボタ洋瓦・スカンジア瓦)
一般にモニエル瓦と言われる屋根瓦です。モニエル瓦の塗り替えは塗装の剥がれ不具合に繋がりやすく注意が必要です。
注意点としましては3点
・着色スラリーと呼ばれる層を時間をかけて高圧洗浄。
・モニエル瓦専用塗料を塗ること。
・メーカーの施工マニュアルを守ること
上記を守っていれば早々に剥がれなどの不具合が起きることはありません。
①徹底的にスラリー層を除去 |
②高圧洗浄の途中段階 |
|
|
③専用塗料で塗装 |
④完成 |
|
|
〇 セメント瓦・厚型スレート
セメント瓦は一般に塗装して市場に出されますが無塗装のまま使われる事もあります。厚型スレートは工場や倉庫などによく見られる波形のスレートです。現在のスレートはノンアスベストですが以前のはアスベストを含んでいました。
屋根塗装に足場は必要か?
これもお客様がよくお聞きになられることです。
「屋根塗装のみをお願いした場合に仮設足場は必要ですか?」
というものです。
結論からお話すると必要です。
勾配のゆるい折半屋根(鉄板)などは要らない場合が多いですが、通常の住宅の場合はほぼ必要となります。
理由は大きく3点あります。
・近隣対策
・作業員の安全確保
・作業性
簡単ではありますがご説明します。
【近隣対策】
高圧洗浄時、または塗装時(ローラー塗装であっても)に屋根材の汚れ、塗料の飛散が懸念されます。大阪の場合はお隣の敷地に接近している場合が多いですので、足場を組み養生シートをしておかないとご近所に迷惑がかかる可能性が高いです。
【作業員の安全確保】
屋根はさきほど申しましたとおり、経年で表層が風化している場合が多く洗浄をかける前は滑りやすくなっています。洗浄後は幾分ましにはなるのですが、それでも屋根の上は靴が滑りやすく危険な作業に違いはありません。
【作業性】
足場がないと端部分(樋付近)の作業がほとんどできません。そのためどうしても端の部分がいい加減な仕事になってきます。
以上が屋根塗装のみの場合でも足場が必要な理由ですが、特に重要なのは作業員の安全確保の部分です。
足場費用をおさえ費用軽減もお施主さまからすると大切なことではありますが、危険を犯してまでするものではありません。弊社では折半屋根以外の住宅屋根で足場無しの屋根塗装はお断りしています。
屋根塗装か?葺き替えか?
屋根を塗装にするか?それとも葺き替えにするか?
これも状況に応じ変わりますので正解はないのですが、あくまで目安とすれば新築から15~20年以内なら塗装。20年を超えていたら葺き替え、あるいはカバー工法かなと思います。
もちろん10年を超えた場合であっても塗装不可の場合がございますのであくまで基準としてご理解ください。
いずれにしましても、屋根塗装、葺き替え、あるいはカバー工法などは一度現場調査してからの判断となります。
葺き替え、カバー工法についてはこちらのサイトをご覧ください。
屋根リフォーム相談室
まとめ
屋根塗装についての要点をまとめてみます。
・築10年経過してから傷みだす。
・外壁より屋根の方が傷みやすい。
・環境によって苔・藻が付着する。
・雨漏りと屋根塗装は無関係なこと。
・屋根材には種類がありそれぞれで塗料がかわってくること。
・屋根塗装でも足場は必要。
・20年以内なら塗装、20年経過していたら葺き替え。※あくまで基準
以上になります。屋根塗装をご検討の方はご参考になさってください。