カバー?張り替え?外壁からの雨漏りを解決するサイディング工事とは
外壁から雨漏りしている場合、修理方法としては塗装工事を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
それはそれで一つの修理方法ですのでダメなわけではありませんが、現状外壁から雨漏りしている場合3つの修理方法があります。
①塗装工事およびシーリング工事
②外壁をめくって下地(二次防水)を修理し再度復旧
③金属サイディングによるカバー工法
それぞれに一長一短があり、また雨漏りのケースによっては工法が変わってくるのが前提ではありますが、このページでは金属サイディングのカバー工法、窯業系サイディングの張り替えについて事例を交えながら解説したいと思います。
金属サイディングのカバー工法・・現在の外壁の上から新しく金属サイディングを張る工法です。重ね張りという言い方もします。
窯業系サイディングの張り替え・・現在のサイディングボードを撤去し新たにサイディングボードを張る工事になります。
まずは金属サイディングのカバー工法からです。
窓サッシから雨漏りしている原因は二次防水の不具合
雨がふるたびに雨漏りがする・・
強風時のみ雨漏りがする・・
今年に入って急に雨漏りがしてきた・・
等、お家によって雨漏りの頻度は違いますが【窓サッシからの雨漏り】というのが弊社に一番多くいただくご相談です。
▼強風時に窓枠からポタポタと雨水が落ちる雨漏り
▼イメージ図
窓サッシから雨漏りした場合、雨水の侵入口はどこであろうとほとんどのケースは、二次防水の不具合です。
下の図は外壁の断面図になります。図を見ていただくと分かるのですが、既存の外壁がモルタル、サイディングに関わらず外壁の内部には二次防水という防水層があります。
仮にモルタル、サイディングの表面が割れていたとしても、内部にある二次防水で雨水の浸入を防ぐ構造になっています。雨水はその二次防水を突破することによって内部へ侵入してくるわけです。
外壁塗装の場合、表面を塗装をしたとしても二次防水は不具合のままですから再度外壁が割れてしまった場合はまた雨漏りがするという懸念があります。
外壁を剥がしてしまい二次防水を修理するのはどうかと言うとそれはそれでありなのですが、そこの二次防水を修理したとしても他の箇所の二次防水が万全だとは言い切れません。新築時に施工しているのは同一の人間だからです。
そう考えると今後の憂いを無くすのであれば、軽量で美観にも優れている金属サイディングによるカバー工法は有効な工法の一つと考えられます。
それでは金属サイディングカバー工法をご紹介します。
今回ご紹介するのは外壁からの雨漏りに悩まれていたお客様からのご依頼で、モルタル外壁の上に金属サイディングの貼るカバー工法で施工した様子になります。
外壁サイディング カバー工法の工程
1階はRC、2階・3階は鉄骨の住宅になります。以前から強風を伴った雨降りの時に、サッシ廻りから漏水が見られるということでご相談がありました。
外壁の散水調査
まずは仮設足場を建て散水調査を行います。仮に外壁に原因がないとするとサイディングのカバー工法をすること自体無意味なものになってしまうので重要なのは雨漏り箇所の特定をすることです。結果、外壁からは3箇所の雨漏り原因がありました。
雨漏り原因はモルタル外壁の割れからの雨水侵入ですので塗装でも対応可能ですが、構造を考えると雨漏りが再発する可能性があります。そのため金属サイディングのカバー工法で施工することとなりました。
防水シート、胴縁取り付け
金属サイディングを貼る前に、防水シートを貼り胴縁を取り付けていきます。
金属サイディング張り
胴縁が完了してから金属のサイディングを一枚一枚貼っていきます。
シーリング打ち
最後に養生テープをはりシーリングを打っていきます。ブラウンのサイディングにはブラウン色のシーリング材を、アイボリーのサイディングにはアイボリーのシーリング材を打っていきます。
サイディングカバー工法 完成
サイディングカバー工法の完成です。雨漏りを止め尚且つ美観も新築のように生まれ変わりました。
外壁サイディングのカバー工法と外壁塗装の違いは?
続いてはよくご質問をいただく外壁サイディングのカバー工法と外壁塗装の違いです。
種類 |
サイディングカバー工法 | 外壁塗装 |
価格 |
塗装の2~3倍 | 比較的廉価 |
施工性 |
電気配線など壁に付いている障害物が多いと施工しにくい | どんな形状であれ問題はなし |
雨漏りしている場合 |
今後も安心 | 今後ケースにより若干不安が残る |
施工性の欠点 |
現在の外壁に浮かして貼ることになりますから窓サッシ自体が外壁よりへこむ形状となります。 | 傷んだ上に塗装するわけですから仕上がり感は現在の状態に左右されやすい。またサイディングの反りなどがある場合は治りにくいです。 |
サイディングと塗装。どちらがいいとかではなくケースバイケースになります。外壁改修工事の場合ですと圧倒的に塗装工事の方が多いです。ただ、先ほど申しました【雨漏りしている場合】や【外壁の傷みが激しい場合】などでは外壁塗装で対応出来ないケースもありますのでサイディングカバー工法も選択肢の一つになります。
窯業系サイディングが傷んだ時には張り替え
続いてはサイディングの張り替えについてです。サイディングが傷む原因のほとんどが内部(サイディング裏面)からの湿気あるいは水がまわっているのが原因です。
ここでいう傷みとはサイディング表面の色褪せやチョーキングではなく爆裂などサイディングボード自体の損傷があることです。このような場合にはサイディングボードを張り替えするのが一般的です。
さきほど金属サイディングのお話をしましたので少しややこしいのですがまとめますと、外壁に貼るサイディングの種類は大きく言うと
窯業系サイディング
金属系サイディング
の2種類があります。一般的には新築で家を建てた際に貼るのが窯業系サイディングです。
大阪でよく見かけるお隣と自分の家の間に隙間がないような面は金属サイディングを張ってるケースがほとんどです。人が入れないような狭い面でどうやって張っているかというと新築時お家の中から張っています。
▼左が窯業系サイディング、右が金属系サイディングの見本になります。(KMEW社製)
窯業系サイディングと金属系サイディングの違い、または事例を加えて表にしてみました。あくまで新築工事ではなく外装リフォームの場合になります。
種類 |
窯業系サイディング |
金属系サイディング |
特徴 |
種類が多く意匠性に優れています。また近年では汚れを洗い流す光触媒コーティングタイプのものもあります。 |
種類は多くありませんが、軽量で断熱性、遮音性、防水性に優れています。 |
1㎡あたりの重量 |
14kg |
3.5kg |
家全体 |
2100kg |
525kg |
事例 |
||
現在の状態 | 結露、雨漏りなどで窯業サイディングが傷んでいる。 | 外壁の割れから雨漏りしている。 |
工法 | 窯業サイディングの張り替え | 金属サイディングカバー工法 |
一言解説 |
サイディングそのものが傷んでいる状態です。 少しくらいの傷みであれば塗装で対応出来るのですがここまで傷んでいると塗装では修復不可能です。 サイディングの張り替えを行いました。 |
外壁の細かい割れから雨漏りしていた事例です。
塗装でも対応は出来ますが、将来的に再度割れて雨漏りする懸念がありましたので金属サイディングのカバー工法で施工致しました。 |
改修(リフォーム)工事だけのお話をすれば、金属サイディングはカバー工法で使用し、窯業サイディングは張り替えで使用する場合がほとんどです。
それでは窯業系サイディングの張り替え工程をご紹介します。
サイディングの張り替え
施工前のサイディングが爆裂している状態です。ここまで傷んでいると真っ先に疑われるの内部からの湿気です。雨漏りもしくは結露が疑われます。
サイディングを撤去
窯業系サイディングをめくっていきます。サイディングボードの裏にも水がまわったあとがあります。
結露によるカビの発生
めくって見て驚いたのはアスファルトフエルトにびっしりついた白カビです。低層より高層にいけばいくほどカビが発生しています。原因は
・結露を発生しやすいツーバイフォーだということ
・通気工法ではありますが上部に湿気を逃がす抜け道がないこと
・透湿性のないアスファルトフエルトを使用していること
が考えられます。ただ不幸中の幸いはアスファルトフエルトの下の構造用合板はそれほど損傷がないことです。
※ハウスメーカーさんの名前が入っていますのでモザイクかけています。
透湿防水シートを貼っていきます
透湿性防水シートを貼っていきます。シートはサイディングの中に雨が入っても内部に入らないよう下から順番に貼っていきます。
胴縁を打ち、開口部には雨水が入らないようテープ処理をします。
下からサイディングボードを張っていきます
防水シートと同じでサイディングボードも下から順番に張っていきます。
今回は湿気を少しでも逃すため板金を細工し設置しました。雨は入らず湿気を逃す構造です。
完成です。
サイディングの張りかえが完成しました。
外壁サイディングを一部張り替えする場合の注意点
窯業系サイディングが一部損傷していて交換する場合もあります。サイディングそのものは一枚の板ですので、商品自体が「廃番」になっているケースがあります。築20年経過している場合はほとんどのケースで同じ商品がないと思っていいでしょう。
全く柄(がら)の違うサイディングを貼っても問題ないという場合は別ですが、やはり美観的に問題がありますので部分張り替えをする場合はなるべく近い模様のサイディングを選ぶか、全面張り替え、もしくは正面なら正面と一面張り替えをするのが一般的です。
こちらのお宅では築20年経っていたのですが、運良く同じ柄(がら)の窯業系サイディングが今でも販売されていたので問題なく交換できた事例です。タイル調の寸法が縦横とも同じです。(張り替えた後に塗装します。)
まとめ
サイディングのカバー工法、張り替えについて解説しました。まとめますと
・外壁から雨漏りがしている場合、修理方法として・塗装及びシーリング工事・外壁をめくっての二次防水処理・金属サイディングのカバー工法の3種類がある。
・モルタル外壁で外壁から雨漏りしている場合は金属サイディングのカバー工法が有効。
・サイディング外壁で外壁から雨漏りしている場合は、カバー、張り替えどちらも可能。
個々のケースによりどれがいいとは言い切れませんがサイディング工事をする際には参考にしてください。